戦争に備える、シェルター作りの考え方
様々な災害がありますが、自然災害の他にもっとも恐ろしいのが戦争です。
戦争の被害は他の自然災害と比べものにならない被害が発生します。
そんな戦争から自分や大切な家族の身を守るのは
自分しかないというのも忘れてはいけません。
今回は13年の自衛隊経験を活かしたシェルターの考え方を紹介します。
まずは戦争での被害の仕組みを考えなければなりません。
戦争を知る
戦争の目的は人を殺すことだと思ってしまうかもしれませんが
それは違います。
戦争では武力によって目的を達成することが戦争を起こす全です。
同時に、その目的を阻止するために自衛隊や他国の軍隊が存在します。
目的は様々ですが、必ず何らかの主張が存在します。
その主張がどのような形であれ、受け入れられ解決すれば戦争は終了します。
実際に戦闘にならない戦争は常に発生しています。
多くの人が知らないところではほとんどの国で水面下の戦争は発生しています。
ですが、
戦争と表現されないのは、
軍隊によって他国の国境線を越え武器を使い攻撃を行っていないだけです。
実際の戦争というのは、政府や大統領といった人達からすれば戦争は
もっと前から起こっていて、じつはどの国も隣国と戦争の
一つ、二つ手前の状態が続いているのです。
では軍隊を使った戦争でも目的は変わりません。
だからこそ、基本的には順番が存在します。
戦争の思考
・威圧する(軍隊を他国に向かわせ、本気をアピール)
・攻撃する
・侵攻する(軍隊が国境をこえる)
・軍事施設の破壊
・軍隊の排除
・軍事関係施設の破壊
・国のエネルギー資源施設の破壊
・民間人への攻撃
基本的には民間人への攻撃の優先順位は最後です。
しかし、戦争の報道を見ていると
民間人を虐殺しているようにも見えてしまいますが
実際には戦争に巻き込まれてしまったのが原因であり
軍隊が民間人を標的にして攻撃するのは
最終手段であり国の権力者を屈服させるのが目的に最終的に行います。
戦争で身を守るには
戦争で身を守るには二つしかありません。
逃げるか、隠れるかです。
先ほども書いたように目的は、民間人を殺すことではありません。
軍人もしっかりと逃げてもらう方がありがたいと思っています。
だから逃げる場合には、海外に逃げることをお勧めします。
それが難しい場合には、隠れて戦争が終わるまでをやり過ごすことになります。
戦争を隠れてやり過ごす方法
敵の軍隊が攻撃するような場所にいないことです。
これがもっとも確実に戦争でやり過ごす方法です。
そのたには自分達の住む場所がどこか知る必要があります。
米軍基地や自衛隊の駐屯地がある場所は基本的に最初に敵国の攻撃対象になります。
地図を見て、自分の住んでいる地域がそのような施設に近い場合には
引越を考えてください。
そのような場所でシェルターを作っても意味がありません。
滑走路や造船所がある海岸を避ける
次に滑走路や造船所が近い場合も注意が必要です。
民間の滑走路や造船所は敵国からすると転用可能な軍事施設になります。
そのため攻撃されやすい土地がらでもあります。
そのような場所に住んでいる場合には引越を考える必要がありますが
場所によってはシェルターを作っても良い場所になるでしょう。
燃料施設、大型の工場を避ける
このような施設も攻撃の対象になります。
軍隊は攻撃の優先順位を持っています。
それは国際的な政治的圧力を強めるのと同調するように
タイミングを図っている場合もあります。
このような施設が近い場合にはシェルターを作る場合は注意が必要です。
敵の国の軍隊がどんな形で攻撃するのかを知る
敵の軍隊する攻撃を知ることで、避ける攻撃とシェルターで守る攻撃を分けて
何からみを守るかを考えます。
攻撃は3つのパターンがあります。
1 艦砲射撃やミサイル
2 戦車や軍人よる砲弾や射撃
3 航空機による爆弾
一般市民の順番で考えると被害は1と2となり最終的な手段として3が行われます。
この中で実際の被害の可能性が最も高いのは2のパターンになります。
※ 軍事施設や攻撃目標になっている地域はパターン関係なく3が行われます。
1のパターンは、破壊力が高くシェルターを作っても生き残れる可能性が低いです。
ですが基本的には軍事的な目標地域にしか攻撃しません。
ですので、自分の家が軍事施設から離れていれば避けられる可能性が高いです。
シェルター作りではこのような地域を避けるのがシェルターのポイントになります。
2のパターンは、近い距離での攻撃です。
直接軍隊が住んでいる地域に侵攻してくることで発生する攻撃パターンです。
直接攻撃される可能性が最も高いパターンと言えます。
このパターンはすでに地域を占領するために行動しているため、
建物一つ一つに攻撃が行われます。
占領が完了すれば攻撃がなくなります。
パターンの2はどこに住んでいても攻撃される可能性があり、シェルター作りでは
2パターンから生き残ることを前提としたシェルター作りを考えていきます。
3のパターンは戦争末期で行われるパターンです。
軍事施設を攻撃するだけでは目的が達成できない時に民間人への攻撃として
無差別に攻撃が行われます。
シェルターのイメージではこのパターンが脳に焼き付いているかもしれませんが、
このような状況になってしまった場合、
シェルターに固執して生き延びる方法を考えるのは危険です。
シェルターで生き残ることはできても、日々の生活やその地域が
固執することなく他の生き残る方法なども同時検討しましょう。
シェルターの作り方
シェルターの作り方でもっとも重要なのは場所です。
どこに作るかがポイントになります。
攻撃されにくい地域を選び、その中で出来ることを探っていくのが良いでしょう。
爆弾の直撃から耐えるシェルターを作ることは現実的ではありません。
理由は爆弾の持つ破壊力は高く、一般的な建築では直撃でのダメージを防ぐことは
難しいからです。
ですからそもそも攻撃されにくい地域に移動するのが
もっと最初にやるべきシェルター作りと考えます。
そして次に大切なのは
パターン2の攻撃から守るシェルター
パターン2の攻撃は戦車や人による攻撃です。
パターン1や3と比べると、最も攻撃力が低いです。
その中で攻撃力の高い戦車ですがこれは下にはあまり向きません。
そのため戦車砲が向かない地下などに作るのがよいでしょう。
シェルターが見付からないようにする工夫する。
次に恐いのが軍人の攻撃です。人は銃の他に爆弾を持っています。
ですが、攻撃力は戦車ほどありません。
そこで大切なのはシェルターの入口が見付からないようにすることです。
見付からなければ、攻撃の対象になりません。
作る前から見付からないように工夫した設計をするようにしましょう。
マンションや集合住宅、住まい人は隠し部屋などが
軍人からの攻撃を守るシェルタ-になります。
シェルターの設計と考え方
シェルターにできることには限界があります。
理由は爆弾の直撃にも耐えるには
そもそもの土地が岩盤の中や鉄筋コンクリートを30cm以上で作る必要があるなど
個人で行うには限界があります。
そこで考えるべきはどんな可能性がそこをどのような形で対処するかが
ポイントになります。
さきほど書いたように、
そもそもシェルターを作る場所や環境を改善よくする方が
効果は高いと言えます。
その上でシェルターを作る場合について考える必要があるからです。
核シェルターに爆弾などを耐える力は無い問題
核シェルターと聞くともっともヤバいものに耐えるのだから
他の爆弾などにも耐えられると思いがちですが、全く違います。
核シェルターに爆弾の衝撃を守る効果はありません。
一般的な核シェルターは核爆弾で発生する爆風とフォールアウトに対して
放射能汚染を一時的に回避するシェルターです。
核爆弾には4つの攻撃が存在しています。
1 爆発による熱線
2 爆発による爆風圧
3 放射線の直撃
4 フォールアウトなどによる汚染被害
核爆弾と爆弾の一般的な違いは3、4がなく1、2が爆風圧と
爆弾の中にある鉄球などが飛散して殺傷させるものに置き換わります。
通常の爆弾は破片などの爆発破片による殺傷が目的です。
核シェルターは4の攻撃を防ぐものが一般的で3が
性能を別にしてオプション的な扱いになることが多いです。
1と2を防ぐものは実質的に
最高レベル軍事施設でないと建設不可能なものになっています。
しかも核シェルターは3は地上設置では効果が見込めないので
地下に埋める必要があります。
核攻撃はどの国でも最終局面での使用にしかならず
現実的なことで言えば、核シェルターが役立つのか
正直可能性が低いと現在は考えます。
それ以外での直接的な攻撃でも考える影響はほとんど同じです。
爆弾であれば爆風と飛散物から守り、弾丸であれば貫通しないことを
から身を守ることを想定したシェルターを考えていきます。
それにはタイミングがあります。
余裕がある時と余裕がない時です。
余裕がある時
余裕がある時はお金もあり工事を依頼し作って
もらうこともできるはずです。
その時は鉄筋コンクリート製のシェルターを作るようにしてください。
ポイント
・鉄筋コンクリートは2~3cm
・出入口は小さく
・L字型のシェルターにする
・トビラは2重トビラにする
鉄筋コンクリートは2~3cm
一般的なコンクリートの厚さよりも厚い設計です。
核シェルターの話しで出した1と2を守るには分厚く、
配置する鉄筋の間隔を狭く増やしていく必要があります。
出入口のトビラは小さくする
出入口は小さいほどシェルターとしての防御効果があがります。
理由は、シェルターの中で一番弱い部分が出入口だからです。
出入口を小さくすることは爆弾の衝撃や飛散物が入ってくる可能性が低くでき
シェルターとしての性能を高めることができます。
L字型のシェルターにする
シェルターで最もリスクが高いのは出入り口です。
爆弾の威力は基本的には直線的です。
そのため、出入口から入る威力は出入口の真下に進むようになります。
L字型にすることで出入口から爆弾の
直線的な衝撃をさけ中の人を守る形にできます。
2重トビラにする
シェルターでは中の収容面積を増やすために2重トビラ設計になっていませんが
爆弾の衝撃から守るには2重トビラにすることが効果的です。
L字型の設計であっても、衝撃は空間に回るのでダメージは受けます。
2重トビラをシェルター内の出入り口を避けた所に用意することで
確実に人命を守ることに繋がります。
2銃扉にする場合ならば出入口は簡易的なものにし
シェルター内の扉を鉄製にすることが、
命を守る点で言えば効果的で効率的です。
余裕がない時
余裕がない時は手で掘るシェルターを作るようにしましょう。
マンションなどの共同住宅内ではシェルター効果は期待できません。
その場合は近くの土を掘る形でシェルターを準備する意識を持ってください。
もしくはシェルター用の土地を購入するのもよいかもしれません。
シェルターは出入口だけセメントで作り中の退避スペースは簡易的にするなど工夫することで
工数と時間を短縮することが可能になります。
しかし、安全面でリスクは高まることを承知しなければなりません。
それよりも出入口を上手に隠す工夫をすることが大切です。
ポイント
・掘る面積は最小限にする
・逐次拡張する
・ある資財を活用する
・L字にする
・2重トビラにする
・隠す
掘る面積は最小限にする
時間が無いときのシェルターで生活することを考えるのはやめましょう。
空間を大きくすることは作業量を増やすことに繋がります。
シェルター内にいる時間を24時間以内などと考えた待避壕的な視点で
作ることをお勧めします。
そのために最小限で人が中に入れるだけのスペースを考えましょう。
1m³を1人分のスペースとして
最低限のスペースとして考え家族や大切な人の人数を考えて
設計すうるのがよいでしょう。
逐次拡張する
そもそもシェルターにいる時間は息を潜めているしかありません。
ですが、掘り進めるだけならできる場合があります。
小さな手堀りのシェルターならば、余った時間を有効活用し拡張し
快適性を高めていくことが可能です。
ある資財を活用する
穴を掘るだけでは衝撃に耐えられるか分かりません。
手掘りのシェルターは爆弾の衝撃に耐えられるかは運によるところが強くなります。
それは衝撃で土が崩れて生き埋めになるなどの可能性も高くなるからです。
そこで常にあるものを使って補強していくことをお勧めします。
木の板などを壁面に当てたり、柱を入れて補強するのもよいでしょう。
あるものなんでも使うのがポイントです。
ブルーシートなどを壁に柱と組み合わせ使うだけでも補強になります。
L字にする
穴を縦に真っ直ぐ下に掘るのはやめましょう。
途中で横に掘るようにするのがシェルターの機能を高めてくれます。
2重トビラにする
手掘りのシェルターであってもL字構造にすることと、
2重トビラにしていくことの優先順位は高いです。
理由は爆弾の持つ特性から守ることのできる構造的な効果だからです。
手掘りのシェルターであっても可能な限りこの形を追求することをおすすめします。
トビラの素材は鉄にこだわる必要はありません。
木製でも布でも対処の性能は下がりますが、効果はあります。
隠す
時間が無いときに隠れるシェルターの本来の目的は発見されないことです。
戦車などの砲撃や爆弾の攻撃を受けるかは一般時であれば基本的には運です。
逆に言えば狙って戦車や爆撃機があなたを直接目標に攻撃することは
ないと言っていいでしょう。
それよりも可能性が高いのは占領時に行う建物の内の捜索です(クリアリング)
敵の軍人が自国の兵士がいないか、軍隊の施設でないかを調べる捜索になり
一般人の住宅であれば攻撃することは基本的にはありません。
ですが捜索に来る兵士は非常に緊張や興奮状態にいるため
間違って射撃してきたり、軍事関係施設と思われ破壊行為する可能性が高いです。
その占領に直接居合わせないためのシェルターとして手掘りの
シェルターは効果があります。
そのためにもっとも重要なのが隠すことです。
兵士も一つの建物に時間をかけて捜索は行いません。
軍隊が目を付けている場所でなければ
捜索は目立ったものを探し次へと移っていきます。
最前線の兵士とのファーストコンタクトを避けることが重要です。
そのためには出入口を隠して発見されないことが効果的です。
そしてもう一つは排気口の場所になります。
シェルターには出入口と排気口の二つは必要になります。
手掘りのシェルターでも面積が大きくなれば排気口が必要になります。
その排気口からシェルターが特定される可能性もあるので排気口の位置も
目立たない場所にすることをおすすめします。
シェルターを出る時
シェルターは身を守りますが、それ以外は守ってくれません。
それよりもシェルターを出る時のこと、
そして出た後のことについてしっかり考えておく必要があります。
シェルターが実際に使われたということは実際の戦争がそこで行われたということです。
場合によっては、すでにそこは自分の国でない可能性があります。
シェルターで生き残っても期待していた未来とは
違ったことなる可能性があります。
シェルターを出るときのマインドセット
常に二つの選択に対して、答えられるようにしましょう。
シェルターから出るとき、そこが敵の国の占領下に入っていたら
あなたはどうしますか。
・生き残るために、敵国の言葉や指示を受け入れる
・今の場所を捨て、自国の勢力圏内に移動する
どちらが正しいかはありません。
結果は未来にならないと分からないことが多くあります。
ですが、一般的にシェルターから出るときはこのような可能性が高くなるので
家族や大切な人をどのような形で守るのかを決断しトビラを開ける必要があることを
忘れてはいけません。
シェルターが持つ勘違い
空襲から身を守るや核攻撃から身を守るのが
シェルターといったイメージを思い描きがちですが
実際にそのような状況になるには必ず軍事的なステップがあり
それは状況的判断で誰でも分かるはずです。
空襲や核攻撃というのは敵国であっても最終局面です。
初手や侵攻直後からは行いません。
ですから、そのような局面を意識したシェルターは
コンテンツの影響を受けすぎていて現実的ではないと感じます。
そのような局面になりそうのならば
シェルターで身を守る選択をせずに違う選択肢も試したり判断した結果
シェルターを選ぶということを考えていただきたいです。
その後の人道的扱いなどの影響などを考えなければ
生き残る方法は沢山あると考えます。
スマートシェルターという考え方
車が普及し、都市部に人口密集している日本ではスマートシェルターという考えが
生き残る上で効果的と考えます。
スマートシェルターは私の考えた造語ですが、
スマートシェルターの根本的な考え方は移動するシェルターです。
シェルターの考え方でも説明したように攻撃の優先順位が低い場所は常に存在しています。
攻撃されない場所を選ぶのがシェルター選びの基本ですが、
攻撃されない地域に移動を定期的に繰り返すことで大切な人を守っていくのが
スマートシェルター根本的な考え方です。
方法は車など、荷物と人が一緒に移動できるものが良いでしょう。
戦争になれば道路などのインフラを破壊してくる可能性があるので
リアカーや自転車のようなものも選択肢に入ります。
食住に必要な最低限のものを最低限積み込み攻撃される可能性が低い場所に
移動しやり過ごすのがスマートシェルターです。
そのために必要なのもの
・移動に使えるもの
・寝られること
・食料
・情報収集端末
・電気(モバイルバッテリーなど)
スマートシェルターと一般的なシェルターとの違いが2つあります。
・根本的な備がない
・周辺地域を理解をしていない
根本的な備がない
食料や備蓄に限らず、爆弾などの攻撃に対する備を持っていない点です。
そのため、身を守るというより距離をとるという感覚が近いでしょう。
スマートシェルターでは、避難先で資財を見付けて攻撃に対する
拡張を常にすることが前提になります。
手掘りのシェルターをそこで築くのもよいかもしれません。
周辺地域を理解していない
インフラは地域に頼ることがほとんどです。
電気や水は張り巡らせられたインフラを利用するしかありません。
通常のシェルターではこのようなインフラを引き込むことも可能ですが
スマートシェルターでは、このようなことが現実的には難しく
現地で開拓する必要があります。
情報収集がスマートシェルターでは鍵
スマートシェルターの利点は場所の拘束を受けないことです。
それ故、攻撃に対する防護性能を捨てているとも言えます。
そこで大切なのは、常に情報を収集し戻るか、
次の場所を探すかを検討することです。
攻撃の影響範囲から常に距離を取り続けるのが
スマートシェルターの在り方です。
そのために一般的なシェルターと違い
常に情報を収集し判断していかなければなりません。
そのための電気も常に確保しておく必要があるでしょう。
まとめ
シェルターは攻撃されない場所を考えることがもっとも大切で
自分の場所が攻撃されやすい場所なのか
そうでないことを見極めるようにしましょう。
そしてシェルター作りでは、出入口を小さくし、
トビラなど工夫しシェルター内の人に
被害が出ないように工夫することが大切です。