防災リュックの選び方
防災リュック選びは逃げる速度を変えます。
みなさんは防災リュックどんなものを使っているでしょうか?
ナップサックタイプのものから、ビジネスリュックのようなものまで多種多様です。
リュックにおいて大切なのは逃げる速度が発揮できるかと、どれくらい物が入るか
この二つだと思います。
逃げ遅れの原因ができてしまうようなものは避けた方がよいでしょう。
そこでリュックが作る逃げる速度が低下する要因を探っていきます。
そしてどんなリュックが良いのか紹介したいと思います。
逃げる速度が落ちる原因
・疲れて速度が落ちる
・揺れる
・重すぎる
この3つです。
これらは自衛隊時代に重いリュックを数十キロメートルと歩く経験を何度もして
得て分かったことです。
疲れて速度が落ちる
逃げる速度が落ちる原因は、全てこの問題によるところです。
疲れる原因の中に、リュックが揺れること、気になること、重すぎることなどの要因が重なって
いるとおもってください。
避難時に疲れを感じているということは
心理的に見ればバテているのと同じです。
そうなった場合、速度が落ちるめ再び速くなることはまずありません。
火事場の馬鹿力というのがありますが、緊張状態が維持され
本能が生命の危機を感じている間はその力が発揮され、
体力などを無視して走ったりすることも可能です。
ですがその力を意識的にできる人はほとんどいないでしょう。
意識的にできないのであれば、出来ない状態で考えるのが防災におては大切です。
そのためまずは疲れ(バテ)ないようにするのが重要になります。
バテないためにできることの一つがリュック選びの基本になります。
じつは人がバテている状態は、体力を使い切って発生しているいない状態で発生している
場合があります。
・うっ血
・ぼーとする
・呼吸出来ない
これらの理由は体力の消耗と合わせて心理的な気持ちの低下による
気持ちの限界が現れはじめた時に現れます。
このような状況は避難初期には現れません。
たとえば避難中、進路に迷い始めたり1時間以上歩き続けた時になどに現れはじめます。
死の恐怖よりも身体から溢れる疲労感を強く感じ始める環境になると誰もが陥ります。
これは、人間の体力温存機能の一つだと思って下さい。
ですがこれらの状況に陥ることで精神衛生上、メンタルダウンが起こり
悪循環を発生させ、それが精神上のバテに繋がります。
うっ血
首や肩などリュックの重みで首筋や腕に繋がる血管が圧迫されると発生します。
多いのは肩のうっ血です。防災リュックの多くは、肩紐で背負うものがほとんどです。
しかし防災リュックの中身は水や食料などが多く、比較的重いものになります。
重いリュックを肩紐だけで支えることで肩の周りの血管が圧迫され血の巡りが悪くなります。
血の巡りが悪くなると、腕や頭といった部分に酸素を送る量が減るため
通常よりも疲労感を感じるタイミングが早くなります。
この状態が続くと精神的にバテはじめ、体力を回復しようと足が前に出なくなります。
うっ血の回避策
うっ血症状を回避するたにはウエストベルトのあるタイプの防災リュックにしましょう。
本来リュックは腰で重量を支えるものです。
腰でしっかりと重さを受け止められる防災リュックは疲労しないリュックと言えます。
ぼーとする
ぼーとする原因はうっ血の他に身体の熱による疲労です。
人間は体温を一定に保として発熱などし、全身の体温を下げようとしますが
リュックなどを背負っていると、背中の全面が塞がっているため汗をかいてもそこから放熱できず
体温を下げることができません。
逃げ場を失った熱は背中から身体の前に周り
襟首の部分から熱風が噴き出します。
疲れ始めると顔は項垂れはじめますので、より胸元から吐き出される熱風が
顔に当たるようになり、その熱風により冷やされた感覚がせず
ぼーとしはじめます。
ぼーとしはじめると、途中で意識がはっきりした時に「これは疲れているからぼーとしてる」と思うのようになります。
(明確な疲労感もあるため自分の熱でぼーとしていることに気付きづらい)
するとネガティブな意識のループが始まり自分がバテていると勘違いし動けなくなります。
目的意識がなくなり始めるとこのような状況に陥りがちになります。
ぼーとするの回避策
この回避策も腰ベルトがあるリュックにすると解決しやすいです。
肩紐を緩ませ、リュックが身体から離れるようにし腰ベルトだけで支えるようにすると
首元まで背中が開くので熱を外に放出することができます。
熱の塊を外に吐き出すことができれば気持ち的なぼーとする感覚を軽減でき
バテた感じを減らすことができます。
呼吸出来ない
呼吸出来ない状態は自分の姿勢が作って
います。
リュックを背負うと必然的に重心位置はリュック側にずれます。
人間はそれを最初は背筋で支え、歩ける位置に戻します。
しかし筋肉が疲労しはじめると背筋だけでは支えられないため
姿勢が前傾になります。
皆さんも体験したことあると思いますが、マラソン大会や持続走など
学校行事で数キロを走った時、最後疲れてくると身体が前屈みになっていませんでしたか。
あの姿勢は走るために
背筋を使い果たしてしまい姿勢を保つために前傾になっているのです。
あの時、息がしづらいと感じたことはありませんでしたか。
それは身体が前傾になることで腹の下の内臓が上に持ち上がり
横隔膜が下がりきらず、一回呼吸出来る量が少なくなるためです。
呼吸量が少なくなると、呼吸の回数を増やし補おうとします。
呼吸の回数を増やしているので
身体は余計に疲れてしまい感覚的なバテが生まれる仕組みです。
リュックを背負っている時でも同じような状況になります。
前傾なると肺が呼吸しづらくなり、それがバテにつながります。
呼吸ができなくなるの回避策
防災リュックの横にリュックを圧縮するストラップがあるかを見る
呼吸出来ないのは背筋の使い過ぎによるものです。
その原因の一つは、リュックが揺れて体力の消耗が増えるためです。
リュックの横についてるストラップはリュックの中の荷物が揺れないように
最後締め上げてリュックを小さくするためにあります。
リュックが小さくなれば重心位置が身体に近付いていきます。
重心位置が近ければ背筋を使う量が減り
前傾になるタイミングを遅らせることができます。
リュックではこのような原因で気持ちのバテが発生しやすく
速度が落ちることがあります。
では他の原因をみてみましょう。
揺れる
揺れるとはリュックが動く状態とその中身が動く状態の二つがあります。
人は足を前に出すときに上下運動をしています。
リュック緩いとその上下運動の動きの時に反動を起こし、上下左右の振動が生まれます。
その振動は、背筋や腰、膝が支えています。
振動が多いリュックは無駄に体力を消耗している状態とも言えます。
ですので、揺れるリュックは必然的に速度を低下させます。
リュックそのものが動く原因
身体にしっかりと固定できていないのが原因です。
肩紐を長く伸ばしリュックが揺れている状態などです。
人間の上下運動でリュックが背中から離れるようであれば、リュックの重さが外に逃げ
それを支えるために筋力を余計に消耗している状態です。
肩紐をしっかりとしめ、リュックの背面が背中にしっかりと当たるように背負いましょう。
リュックの中身が動く原因
リュックの中身が動く場合、リュックの中に余裕があり防災グッズが浮いている状態になります。
このような状態は地震で揺れるビルのように上下左右にリュックが振り回されます。
そして重心位置も右や左に傾いたままになりやすく身体に余計な体力を消耗させます。
リュック横のストラップでリュックを圧縮するか、
中の荷物が動かないように梱包し直す必要があります。
リュックの揺れは全身の体力を奪う行為なので
なぜこの人がみたいな人でもバテる可能性が十分にあります。
そして災害時ではリュックが動くことで様々な危険性があります。
リュックが動くことで周囲のものに引っ掛かることです。
マンションやアパートといった集合住宅は玄関から建物の外までの間は
広い設計ではありません。
地震などで即座に建物からは離れたい時にリュックが揺れ
突起物に引っ掛かり、リュックを破損させたり、勢いで倒れたり
逃げ遅れなどのリスクが高くなります。
リュックを背負った状態で物に引っ掛かるのは非常に体力を消耗します。
狭い場所ではその引っかかりをとるのも難しく
心理的な焦りも募りやすくパニックになりがちです。
準備で回避出来ることなのでしっかり対策をしておきましょう。
重すぎる
そもそも自分が持てる以上の重さを入れていませんか?
防災グッズはあれもこれも必要だからと、入れすぎていませんか。
リュックを持ち上げてみてそんなに重く感じないといった理由で
防災リュックの重さをないがしろにしがちです。
リュックを背負ってジョギングをしてみましょう。
長い距離は必要ありません。400メートルも走れば分かります。
ちょっとまずそうだなと感じたら、それは重すぎかもしれません。
リュックの重さは自分の体重の1/5程度にすることをおすすめします。
体重が60kgであれば、リュックの重さは12kgです。
体重が40kgであれば、リュックの重さは8kgになります。
12kgの重さが入るリュックの量で言うと概ね30〜40l前後のザッククラス
8kgの重さであれば20〜30l前後のザッククラスになると思います。
※ 防災リュックでは缶詰など食料の配分が大きいことなどを鑑み、登山用の容積よりも小さくなると想定
重さでいうと持ってみたら重いのほか軽い、と感じるくらいなのではないでしょうか。
防災リュックの中には入れたいものはたくさんあるはずです。
食料と水、そしてラジオや電気、モバイルバッテリーなど
登山グッズにないものが数多くありますし避難所についてから使うものを考えると物は多くなりがちです。
その気持ちも分かりますが、荷物が重すぎて逃げ遅れては意味がありません。
逃げられる量のリュックにすることが大切だと感じます。
防災リュックの選び方
上記で紹介した他に気を付けることは、防災リュックの形です。
最近のリュックの形ではあまりないですが、小学生のおにぎり型のような
肩幅より横に伸びているものは避けましょう。
理由は、集号住宅では、狭い扉や廊下を抜けるのに
リュックが引っかかり逃げ遅れのリスクがあるからです。
他には、ショルダーベルトの付け根がリュックの中間部分についているものも避けた方が良いでしょう。
理由はリュックを背負った時に、首を上に向けづらいからです。
とくに地震などではヘルメットを被る可能性が高いです。
ヘルメットの後ろのつばがリュックにひっかかり上を確認するのは容易ではありません。
荷物の入るものは、首より上に荷物が入るようなデザインになりがちです。
まとめ
逃げる速度が落ちず、疲れないリュックまとめです。
重すぎないこと体重の1/5の重量が入る程度にまとめるようにしましょう。
リュックは揺れや、疲れがたまらないように
・ウエストベルトのあるもの
・リュックを締められるコンプレッションストラップがあるもの
・肩幅をこえないリュックを選ぶ
こういったところを注意するのがよいのではないでしょうか。